ことのはのもり

~ここは 心のさんぽみち~

【作品】なかよしこびんちゃん~こびんちゃんの金メダル

英語版も公開中↓↓↓

https://osamposampo393.hateblo.jp/entry/2021/08/17/160043

 

あやちゃんのこびんちゃんは、赤色リボン

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ちーちゃんのこびんちゃんは、ふじ色リボン

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かわいいリボンが頭にチョンとのった、

ちいさいこどもの手にちょうどの大きさの、こびんちゃん。

 

いつも一緒にねているあやちゃんとちーちゃんは、

今日もお布団からはみだしたまんま、すやすや寝ています。

 

子ども部屋は相変わらずおもちゃでにぎやか。

 

こびんちゃん達はふたりのべんきょう机の上においてもらっています。

 

お部屋の時計がコッコッとかすかに鳴っています。

 

赤色リボンちゃんはねむれません。

お昼間にあやちゃんとちーちゃんと、

おとうさんおかあさんとみんなで観ていた

テレビのオリンピックの体操競技のことを思い出して、眠れません。

 

だってすごかったんだもの!

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たったったっと走って、ピョンと高いところに反対向いてとびのって

いろんな技をきめて、さいごにシュタっとおりてポーズをとったのが

かっこよかったんですもの!

 

ふじ色リボンちゃんはねむれません。

だってながーいながーいリボンをくるると、まわして空中に絵を描くようにしたり、

 

ぽーんとリボンをほうり投げて、パッとつかんでポーズをきめて、

もうなんてきれいなんでしょう!

もう、ぜんぜん眠れません。

 

ふたりは、ちらと目をあわせて、うん、とうなずきました。

 

こびんちゃんたちはお部屋のすみっこにある、

レゴブロックの入っている箱のところまでそーっと歩いていきました。

 

ブロックの箱には、あやちゃんとちーちゃんの作りかけの色々が入っています。

 

ごっこ遊びのつづきのお人形やバスケットやいろいろも入っています。

 

ちょうどよいブロックをみつけた赤色リボンちゃんは、いい具合にならべて、前に立ちました。

 

ふじ色ちゃんはバスケットの中に、お祭りの夜店でもらったバトンとリボンのくっついたのをみつけました。

 

ふじ色ちゃんはリボンを構えて、はじまりのポーズのまま、じっと立っています。

 

赤色リボンちゃんは、ふーっと呼吸を整えて、たったったっと走り、くるりんをしてブロックにのりました!

とっとっとっ、バランスを崩しかけましたが、大丈夫

落ちませんでした。

 

嬉しくなって、ジャンプしておりて、うつくしくポーズを決めました。

 

ふじ色ちゃんは、リボンをしゅるるーとまわし始めました。

 

短いので、オリンピックの選手ほどにはなりませんが、でもとってもきれい!

 

フローリングの線の端から端をいったりきたりして、リボンはふじ色ちゃんの後ろをちゃんとついてきます!

 

「あはは」

 

ふたりは嬉しくなって、何度も何度もあそびました。

 

 

朝になりました。

 

あやちゃんとちーちゃんは、目をこすりながら

「あれ?こびんちゃん、ここに置かなかった?」

と机をみました。

 

いつもこびんちゃんたちと一緒に朝ごはんを食べるので、

いないとこまるのです。

 

「おねえちゃん!みて!」

とちーちゃん。

 

お部屋のすみっこのレゴブロックの箱のまえに、

平均台のようにならべたブロックと

その横にぽてんと寝ちゃっている赤色リボンちゃん。

 

ながーいリボンに巻き付かれたまんま寝てしまったふじ色ちゃん。

 

あやちゃんとちーちゃんには、もうわかりました。

ふたりでにっこり目を見合わせて

 

それぞれのべんきょう机の引き出しを開けると

幼稚園の運動会でもらったピカピカの金メダルを出してきて

 

こびんちゃん達の横に、そっとおいてあげました。

 

「おめでとう こびんちゃんたち♪ よくがんばりました」

 

あやちゃんとちーちゃんは、

今日はふたりで朝ごはんにしようね

とお部屋を出ていきました。

 

だって それはそれは疲れているでしょうから、ね

 

Story by Nao♪  

 

No.1「こびんちゃんのあたらしいおうち」

https://osamposampo.hatenablog.com/entry/2020/08/26/103645

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【作品】なかよしこびんちゃん3 ~ こびんちゃんのお菓子づくり

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https://osamposampo393.hateblo.jp/entry/2021/08/19/161309

 

 

あやちゃんとちーちゃんは、

 

むずかしい顔をしてキッチンに立っています。

 

カウンターのところには大きなボウルと泡立て器と、アルミ型のハートのと長四角のと色々があります。

 

きのうの夕食のとき卵の白身があまったからフィナンシェを作っていいよとおかあさんに言ってもらったので、

 

ふたりは最初とても張り切っていたのでした。

 

 

小さい頃から何度もおかあさんとお菓子作りをしていたから、2人ともとても上手に作れるのです。

 

 

「オーブンのときだけ呼んでね、熱くて危ないからね。」と言って、

 

 

おかあさんはおとなりのお部屋に用事をしにいきました。

 

 

ところが。

 

 

あやちゃんは、長四角のアルミ型でつくりたくて、ちーちゃんはハートのアルミ型でつくりたいのでした。

 

「だって、フィナンシェってそういう形でしょ」とあやちゃん。

 

「だって、ハートのほうがまわりのギザギザが、いっぱいできておいしいでしょ」と、ちーちゃん。

 

 

 

赤色リボンとふじ色リボンのこびんちゃんはふたりを不安そうにながめています。

 

「あ。」ふたりは、同時にいいました。

 

 

「こびんちゃんたちがいるんだから、別々につくればいいんだ!」

あははー、と笑いました。

 

どういうことかな?

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あやちゃんは冷蔵庫からラムダークを出してきて、赤リボンちゃんとふじ色ちゃんにそっと注ぎ入れました。

 

こびんちゃんたちはびっくり!

 

ほわぁ〜っと、洋酒の香りが広がります。

 

「いいって言うまで、待っててね」

なにをするのかな?

 

それからあやちゃんとちーちゃんは、

それぞれのフィナンシェのために、材料を測り始めました。

 

卵の白身をふたつぶん

ラニュー糖 80グラム

バター 100グラム

小麦粉40グラム

アーモンドパウダー 40グラム

 

 

小麦粉とアーモンドパウダーは、よくよくふるいます。

 

バターは、電子レンジで溶かします。

 

それから、ボウルに卵白とグラニュー糖を入れて、ふわっふわになるまでまぜます。

 

そこへ、ふるっておいた粉を入れながら混ぜます。

だいたい混ざると、

 

あやちゃんとちーちゃんはじぶん達のこびんちゃんに

 

「いまよ!」

 

と言いました。

 

こびんちゃんたちは、キリッとした表情で、

手際よく、ぱっぱっぱっ

と、あやちゃんとちーちゃんのボウルに良い香りを振り入れます。

 

ほわぁ〜っ

 

それからふたりは、溶かしバターをそろりそろり入れながら、さらに混ぜ続けます。

 

とてもいい具合に生地ができました。

 

それを、

 

あやちゃんは長四角の型

ちーちゃんはハートの型に、

流し入れていきます。

 

「おかあさーん」

とちーちゃんが呼ぶとおかあさんがきて

オーブンを190度にセットしてくれました。

 

天板には、たくさんのフィナンシェ生地が並んでいます。いまは熱くありません。

 

あやちゃんの方が少しだけ背が高いので、

オーブンの扉をあけて、おかあさんが天板をサッと入れました。

 

あやちゃんちーちゃんこびんちゃんたちは、

わくわくしながら待ちました。

 

もう、お部屋の中には甘くて美味しいにおいしかありません。

 

おかあさんが、とても熱くなった天板を取り出してテーブルの上の金網にフィナンシェを並べてくれました。

 

アルミのあたりは良い具合に焼き色がついています。

 

もう最高です。

 

おとうさんと、おかあさんと、おじいちゃんと、おばあちゃんにもプレゼントしよう、

そしたら何個食べれるかなぁ、

 

 

とあやちゃんちーちゃんは椅子に正座して、テーブルにひじをついて手にあごをのせて、ゆらゆらしながらフィナンシェが冷めるのを待ちました。

 

 

こびんちゃん達もいっしょにゆらゆら眺めがら、

 

 

おねえちゃん達が洗うのを忘れてくれたらいいのになぁ、

と考えていました。

 

 

洋酒の、とっても良い香りが残っているのです。

 

ほわぁ~♪

 

Story by Nao♪

こちらも↓↓↓

No.4 こびんちゃんの金メダル 

https://osamposampo.hatenablog.com/entry/2021/08/02/171825

 

【作品】なかよしこびんちゃん2 ~ こびんちゃんのぼうけん

英語版も公開中↓↓↓

https://osamposampo393.hateblo.jp/entry/2021/08/13/153723

 

 

赤色リボンちゃんとふじ色リボンちゃんは、いつも一緒の、なかよしこびんちゃん。あやちゃんとちーちゃんがつくる遊びを毎日楽しみにしています。

 

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今日は雨。

お庭をながめていると雨がぽたぽたぽたと、おおきな窓ガラスの上から下へ伝っていきます。

お庭のシマトネリコ の枝や葉も雨でおもたそう。

あやちゃんとちーちゃんは、おさいほうばこを出してきて、こびんちゃんたちの服をつくってあげよう、と、

かわいい柄のハギレをならべてあれこれ相談していました。

こびんちゃんたちは、そのそばで雨をながめたり、おさいほうばこの中をみたり、、、

「ね、あれ、なにかな、きれい!」

赤色リボンちゃんがふじ色ちゃんに言います。

おさいほうばこの上の段に、しかくくてピンクのクッションがあって、真珠のような、白や黄色やグリーンの粒々がならんでいます。

「ふふふ♪」

ちーちゃんが、白の粒をつまんでシュッと持ち上げると、、、

 

きらりん!

 

それは真珠の持ち手の、細くて長い剣でした。

 

あまりにきれいで、こびんちゃんたちははっと息をのみます。

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ちーちゃんは、あやちゃんに言われたとおりに、その剣を可愛い柄の布の端っこにすいすいと刺して止めました。

「ここをまち針でとめておいて、こことここを縫ってひもを通したら、マントになるでしょ」

あやちゃんが説明しています。ふたりは針に糸を通し始めました。

赤色ちゃんとふじ色ちゃんは顔を見合わせてにっこりしました。

 

マントをひらひらさせて、

腰に剣をつけて、、、

ぼうけんだ!

 

それはとても楽しいにちがいないのです。

あやちゃんとちーちゃんに持ってもらって、空をとぶこともできる。

そんなことを思いながら、もう一度おさいほうばこを見てみると、きれいな色の真珠がたくさん、、、

「わたし、あれがいいな」

赤色ちゃんは、白の真珠をさします。

「わたしは、あれ」

ふじ色ちゃんは、黄色のを。

眺めているうちに、どうしても持ってみたくなったこびんちゃんたちは、そっとおさいほうばこに近づいてちーちゃんがしたように、シュッとぬいてみました。

 

きらりん!

 

あーなんて素敵。

こびんちゃんたちは、真珠の剣を持ったまま、窓のところまでやってきました。

 ガラスの向こう側を、雨粒がつたっておりてきます。

「雨の粒々を、この剣でとれたらおもしろいね」

「やってみようよ」

こびんちゃんたちは、そろり、と窓を開けてお庭に出ました。

 

「やーやーやー!」

「えいっ、えいっ」

 

やみくもに剣をふりますが、雨粒を串だんごのようにすることはできませんでした。

「雨の粒々がならんだらきれいだと思ったんだけどなぁ」

近くに、お庭のシマトネリコ が見えます。

いつもおうちの中からしか見たことがなかったけれど、そばで見上げてみると、なんとなんと、高いこと!

「あの木の上の枝のところまでのぼったら、おうちの中のあやちゃんとちーちゃんがみえるかも」

「やってみよう!」

こびんちゃんたちは木の根元までテケテケと走っていきました。根元までくると、ますます大きな木です。

 

きらりん!

 

かっこよく剣をかまえた赤色ちゃんが、ツン、と木の幹に突き立てて、真珠のところを持って、ぽよよん、ぽよよん、と上下に弾みをつけました。

「ふじ色ちゃん! こうして、ぽよよ、よーんって、上までとべばいいんだよ」

そうか、とふじ色ちゃんは同じようにやってみました。

こびんちゃんたちは、しばらくまち針の端でぽよよんぽよよんと、上下に揺れて、

 

せーのっ

 

で、上に飛びました。

そして思っていた枝に、チョン、と着地しました。そこからはほんとうに、お部屋の中のあやちゃんとちーちゃんが、見えたのです!

 

「みえたー!」

「やったー!」

 

あやちゃんとちーちゃんはというと、手元に集中して、一生懸命マントを作っていましたので、こびんちゃんがいなくなったことに気づきませんでした。

そしてとっても可愛い、こびんちゃんにぴったりのマントができました。

作り終わって、さ、かたづけましょうというときに、

まち針が2本たりないことに気づきました。

針はあぶないから、かたづけるときに、ちゃんと数が揃っているかたしかめるのよ、といつもおかあさんに言われていたからです。

「あれ、こびんちゃんもいない」

あやちゃんが、テーブルの下をのぞきこんで、落っこちてないかたしかめました。

ちーちゃんは、椅子のクッションをひっくりかえします。

いません。

あれーと、首をかしげて窓の方をむくと、なんと、こびんちゃんたちがお庭の木の枝にちょこんと座ってこちらをみているではありませんか。

「あなたたちどうやってそこにいったのー‼︎」

あやちゃんとちーちゃんはびっくりです。

でも、木の幹のところにある、きらりんと光るまち針を見て、ははーとわかったのでした。

「あはは、お迎えにいってあげよう」

あやちゃんとちーちゃんは、傘をとりに玄関に走りました。

こびんちゃんたち、おりかたは考えていなかったのです。

ちーちゃんはあやちゃんの頭がぬれないように傘を持ち、

あやちゃんは背伸びをして両手を伸ばしておわんのようにすると、

こびんちゃん達が、ピョン、とその手の中に飛び降りました。

 

「ぼうけんをしたんだね。おうちに入ったらきれいにふいて、マントをつけてあげるね。剣も、遊ぶときだけは腰につけてもいいよ。こびんちゃんのぼうけんのおはなし、きかせてね。」

と、あやちゃん。

「けがをしたらあぶないからね、でもまち針、きれいだもんねぇ。」

と、ちーちゃん。ちゃんと幹から2本引っこ抜いてお部屋に戻りました。木の幹にも、よしよししてあげるのを忘れませんでしたよ。

 

お部屋にもどった赤色リボンちゃんとふじ色ちゃんは、とっても満足そうでした。

つぎはどんなぼうけんができるかな

 

story by Nao♪

こちらも↓↓↓

No.3こびんちゃんのお菓子づくり

https://osamposampo.hatenablog.com/entry/2021/06/07/171219

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【作品】なかよしこびんちゃん1 ~ こびんちゃんのあたらしいおうち

 

英語版はこちら↓↓↓

https://osamposampo.hatenablog.com/entry/2024/02/09/083909

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青い、広い、空。

どこまでも広がる大きな湖。

夏の風が、湖にさわさわと波をたてている。

湖に面した小さなお店の、小さな窓から見えるのは、空や湖のさわやかな、青。

お店の中は涼しくて、やわらかな色あいの壁にかけられた木製の棚には、オルゴールやスノーボール、はと時計や木彫りのリスやウサギなどが並んでいる。

小さな窓のすぐそばにある棚には、まあるいピンクのふたがついたこびんちゃんたちが肩をよせあっている。

コロンとしたピンクのふたにはいろんな色のリボンがついている。子どもがにぎったらピンクのふただけがちょこんと見えるような、小さいこびんちゃんたち。

 

ふじ色リボンのこびんちゃんが、おとなりの赤リボンの子に、そっと言った。

「あ、来たよ。」

 

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湖沿いのゆったりした道路のむこうから白い車がやってきて、お店の前に止まった。ドアが開いて、中から女の子が2人、ぴょんとおりた。水色のワンピースと黄色のワンピースをふわりとさせながら、ふたりは手をつないでお店の中に入ってきた。まっすぐにこびんちゃんたちの棚にやってきて、

「これよこれ、 まだあった!」

お姉ちゃんの方が背伸びして、赤リボンのこびんちゃんをとる。

「ちーちゃんもよ、ふじ色の。」

と妹はお姉ちゃんにとってもらう。

お姉ちゃんは、あやちゃん。妹は、ちーちゃん。おじいちゃんおばあちゃんと夏休みの旅行に来ていて、思い出に何か選んでいいよと言ってもらったから、湖のほとりのお店のこびんちゃんがいいの、と帰るとちゅうに寄ってもらった。こびんちゃんたちは小花もようのかわいい袋に入れられて、あやちゃんとちーちゃんと一緒に車の中へ。

「ドキドキするね。」

「うん、、、」

 

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こびんちゃんたちは袋の中でゆられながら、あやちゃんとちーちゃんのおうちへむかう。

 

その夜。星のランプがほんわりと光るこども部屋の、おべんきょう机にちらばる色えんぴつやおりがみやティッシュ箱などにまじって、こびんちゃんは立っていた。赤リボンのこびんちゃんはあやちゃんの机の上。ふじ色リボンのこびんちゃんは、ちーちゃんの机の上。お部屋のこちらとむこうの壁におべんきょう机があって、その間にふたりのおふとんがしいてある。白地に紫のお花がぽんぽんとついたおそろいのおふとんで、あやちゃんとちーちゃんは、寝るときもいつでも一緒。

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こびんちゃんたちはまだドキドキしていたから、机の上から、ふたりをいつまでもながめていた。

 

朝。

 

元気よくおきて朝ごはんをすませたあやちゃんとちーちゃんはすぐにこびんちゃんをとってきた。

「お姉ちゃん、なにしてあそぶ?」

「お水とバラのかおりをまぜるのよ。」

あやちゃんとちーちゃんはこびんちゃんにお水を入れて、玄関のルームスプレーをほんの少し足した。

 

「いいかおり!」

 

こびんちゃんたちは、びっくり。

こびんちゃんたちは、うっとり。

 

「わたしたち、すてきなこうすいちゃん。」

 

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こうすいちゃんたちは、少し高級な気分になって、背すじをぴんとのばした。

 

あやちゃんとちーちゃんは、こびんちゃんたちを手にもって、お姫さまのようにくるくるまわっておどったり、はねたり、歌ったり。

 

 その夜。きれいに洗ってもらって机のおうちに帰ってきたこびんちゃんたちは、あやちゃんとちーちゃんがおふとんからはみ出て寝ているのをながめながら、

 

「おもしろかったね。」

「うん、楽しかったね。」

小さな声で、ささやきあった。

 

次の日。

こんどはちーちゃんが、

「お姉ちゃん、ようせいごっこしよう。」

「いいよー」

 

あやちゃんとちーちゃんは、色えんぴつやテープやティッシュ箱をもってきて、さっそくとりかかる。ティッシュをうすくわけて、真ん中をきゅっとつまんでこびんちゃんの背中にはると、ふんわりとした羽のできあがり。おりがみの湖の上に立たせて、

「あやちゃんのこびんちゃんは、湖のようせいちゃん」

お庭のきれいな葉っぱをひろってきて、ほわっとさせた中において、

「ちーちゃんのこびんちゃんは葉っぱのようせいちゃん」

羽のはえたようせいちゃんたちは、空も飛べるような気持ちになった。

 

 

その日の夜。

おふとんからこぼれ出たまま寝ているあやちゃんとちーちゃんをながめながら、

 

「このおうち、まほうみたいね。」

「ほんとだね。明日は何がおこるのかな。」

 

こびんちゃんたちは満足そうなため息をついて、今夜はぐっすりねむれそうと思った。

 

いちだんと晴れた次の日の朝。

あやちゃんとちーちゃんは公園におでかけすることにした。お気に入りのバッグをななめにかけて、中にはハンカチとティッシュとこびんちゃん。

道をわたってすぐのところにある、いつもの公園。ふたりはブランコが大好き。あやちゃんは立ちこぎでいきおいよくこぎだす。ちーちゃんもすわったまま、まけないように大きくゆらす。

「あっ。」

ちーちゃんが、投げ出されるようにブランコから落ちた。

「いたいよーおててとおひざー。」

今にも大泣きしそう。あやちゃんがかけよってサッとこびんちゃんたちを取り出した。こびんちゃんたちは、心得た。

 

「わたし、しょうどくちゃん!」

 

「わたし、おくすりちゃん!」

 

入っているのは水だけど、こびんちゃんたちは、ちーちゃんの痛いの痛いのとんでけーをがんばった。

「ほら、しょうどくちゃんとおくすりちゃんがきいたでしょ。」

「うん!」

ちーちゃんの涙はもうひっこんだ。こびんちゃんたちは小さくバンザイをした。

 

その夜。

「明日は何にへんしんしようかな。」

「わくわくするね。」

こびんちゃんたちは、あやちゃんとちーちゃんの寝顔をながめながら、楽しい夢をふくらませていたのでした、、、

story by Nao♪

 

special thanks!!

1枚目の挿絵 

by creator's apartment  

担当まるもち様♪

 

 

 

こちらも↓↓↓

No.2 こびんちゃんのぼうけん

https://osamposampo.hatenablog.com/entry/2021/05/28/101947

【作品】シマトネリコのリコちゃんは

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シマトネリコのリコちゃんは

ちいさなちいさな木のあかちゃん

シマトネリコのリコちゃんは

あかるいお庭の真ん中で

とうさんとかあさんの足元の

根っこのそばでうまれたよ

やわらかく、おうちのひとを

やさしくまもる 家族の木

 

シマトネリコのリコちゃんは

毎日お空を見上げてた

いつかなるんだ、リコちゃんも

とうさんのようにおおきくて

かあさんのようにやさしくて

おうちをまもる家族の木

 

ある朝おうちのひとが来て

シマトネリコのリコちゃんを

玄関の横にはこんだよ

いまはすっかり背が伸びて

きれいな葉っぱで身をつつむ

 

シマトネリコのリコちゃんは

立派におうちを任されて

ここに訪ねてくる人を

やさしい緑でおでむかえ

シマトネリコのリコちゃんは

今日もニコニコゆれている

 

 

story by Nao♪

 

 

 

【作品】「さくらちゃんとこうめちゃん」

今日もいいお天気。

 

 春の梅林のかたすみで、こうめちゃんはのびのびと手を広げてあくびをした。

大きなしあわせそうな、「あーあ」

こうめちゃんは歌うのが大好き。

まだすこしひんやりとした春の空に向かって自由にうたう。

 

梅林をふちどるように並んでいる桜並木の中で、さくらちゃんは軽やかにくるくるっと舞う。

ピンクのドレスを着て踊れる、春が一番好き。

風の音も音楽にきこえる。

 

すこし離れた竹林では、みたけちゃんが、今日もまっすぐに、ただまっすぐに、

上へ上へとのびていくようがんばっている。そんなみたけちゃんからみると、

こうめちゃんやさくらちゃんはいったい何をやっているの、となんだかムシャクシャしてくるようだ。

 

「ちょっとあなたたち、私たちを見習いなさいよ。そんなに無駄に手を広げたりうたったり、落ち着きなくおどったりして。もっと身体をぴしっとして、よけいな枝葉を落としてもらって、まっすぐのびなさいよ。私たちなんて、この竹林に無駄なスキマひとつないわよ。」

ある日、みたけちゃんがお説教をはじめた。

 

こうめちゃんとさくらちゃんはきょとんとして、みたけちゃんを見た。

「あらみたけちゃん。 いつもまーっすぐにお空に向かって伸びて、気持ちよさそうね。でも、こっちも楽しいものよ。いつか遊びにおいでよ。」

 

ケンカでもするつもりで身構えたていたみたけちゃんは、ちょっとお返事にまごついてしまった。

その夜、みたけちゃんは、こうめちゃんたちの言葉を思いだしていた。

ふうん、、

 

次の晴れの日に、なんとなくおさんぽにきたというふうに、みたけちゃんがふたりのところへやってきた。いつものように、自由に歌ったり踊ったり楽しそうにしているのを見ていると、みたけちゃんもなんだかつられて身体をゆらして、さわさわと音をたてはじめた。

いつのまにか、スズメやちょうちょもやってきて、ちょっとくすぐったい。

3人で笑いながら、うたったり踊ったりして午後いっぱいをすごした。

 

夕方、帰り道を歩きながら、みたけちゃんはひとりブツブツつぶやいていた。 

「うちはうちでいいけれど、、、みんな、それぞれなんだね。 またときどき遊びに行こう!」

今日のことを思い出し笑いしながら、足取り軽く、おうちに帰っていった。

 

 

story by Nao♪