ことのはのもり

~ここは 心のさんぽみち~

【作品】なかよしこびんちゃん1 ~ こびんちゃんのあたらしいおうち

 

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https://osamposampo393.hateblo.jp/entry/2021/08/12/204914

  

 

 

f:id:osamposampo:20210603111705j:image青い、広い、空。

どこまでも広がる大きな湖。

夏の風が、湖にさわさわと波をたてている。

湖に面した小さなお店の、小さな窓から見えるのは、空や湖のさわやかな、青。

お店の中は涼しくて、やわらかな色あいの壁にかけられた木製の棚には、オルゴールやスノーボール、はと時計や木彫りのリスやウサギなどが並んでいる。

小さな窓のすぐそばにある棚には、まあるいピンクのふたがついたこびんちゃんたちが肩をよせあっている。

コロンとしたピンクのふたにはいろんな色のリボンがついている。子どもがにぎったらピンクのふただけがちょこんと見えるような、小さいこびんちゃんたち。

 

ふじ色リボンのこびんちゃんが、おとなりの赤リボンの子に、そっと言った。

「あ、来たよ。」

 

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湖沿いのゆったりした道路のむこうから白い車がやってきて、お店の前に止まった。ドアが開いて、中から女の子が2人、ぴょんとおりた。水色のワンピースと黄色のワンピースをふわりとさせながら、ふたりは手をつないでお店の中に入ってきた。まっすぐにこびんちゃんたちの棚にやってきて、

「これよこれ、 まだあった!」

お姉ちゃんの方が背伸びして、赤リボンのこびんちゃんをとる。

「ちーちゃんもよ、ふじ色の。」

と妹はお姉ちゃんにとってもらう。

お姉ちゃんは、あやちゃん。妹は、ちーちゃん。おじいちゃんおばあちゃんと夏休みの旅行に来ていて、思い出に何か選んでいいよと言ってもらったから、湖のほとりのお店のこびんちゃんがいいの、と帰るとちゅうに寄ってもらった。こびんちゃんたちは小花もようのかわいい袋に入れられて、あやちゃんとちーちゃんと一緒に車の中へ。

「ドキドキするね。」

「うん、、、」

 

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こびんちゃんたちは袋の中でゆられながら、あやちゃんとちーちゃんのおうちへむかう。

 

その夜。星のランプがほんわりと光るこども部屋の、おべんきょう机にちらばる色えんぴつやおりがみやティッシュ箱などにまじって、こびんちゃんは立っていた。赤リボンのこびんちゃんはあやちゃんの机の上。ふじ色リボンのこびんちゃんは、ちーちゃんの机の上。お部屋のこちらとむこうの壁におべんきょう机があって、その間にふたりのおふとんがしいてある。白地に紫のお花がぽんぽんとついたおそろいのおふとんで、あやちゃんとちーちゃんは、寝るときもいつでも一緒。

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こびんちゃんたちはまだドキドキしていたから、机の上から、ふたりをいつまでもながめていた。

 

朝。

 

元気よくおきて朝ごはんをすませたあやちゃんとちーちゃんはすぐにこびんちゃんをとってきた。

「お姉ちゃん、なにしてあそぶ?」

「お水とバラのかおりをまぜるのよ。」

あやちゃんとちーちゃんはこびんちゃんにお水を入れて、玄関のルームスプレーをほんの少し足した。

 

「いいかおり!」

 

こびんちゃんたちは、びっくり。

こびんちゃんたちは、うっとり。

 

「わたしたち、すてきなこうすいちゃん。」

 

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こうすいちゃんたちは、少し高級な気分になって、背すじをぴんとのばした。

 

あやちゃんとちーちゃんは、こびんちゃんたちを手にもって、お姫さまのようにくるくるまわっておどったり、はねたり、歌ったり。

 

 その夜。きれいに洗ってもらって机のおうちに帰ってきたこびんちゃんたちは、あやちゃんとちーちゃんがおふとんからはみ出て寝ているのをながめながら、

 

「おもしろかったね。」

「うん、楽しかったね。」

小さな声で、ささやきあった。

 

次の日。

こんどはちーちゃんが、

「お姉ちゃん、ようせいごっこしよう。」

「いいよー」

 

あやちゃんとちーちゃんは、色えんぴつやテープやティッシュ箱をもってきて、さっそくとりかかる。ティッシュをうすくわけて、真ん中をきゅっとつまんでこびんちゃんの背中にはると、ふんわりとした羽のできあがり。おりがみの湖の上に立たせて、

「あやちゃんのこびんちゃんは、湖のようせいちゃん」

お庭のきれいな葉っぱをひろってきて、ほわっとさせた中において、

「ちーちゃんのこびんちゃんは葉っぱのようせいちゃん」

羽のはえたようせいちゃんたちは、空も飛べるような気持ちになった。

 

 

その日の夜。

おふとんからこぼれ出たまま寝ているあやちゃんとちーちゃんをながめながら、

 

「このおうち、まほうみたいね。」

「ほんとだね。明日は何がおこるのかな。」

 

こびんちゃんたちは満足そうなため息をついて、今夜はぐっすりねむれそうと思った。

 

いちだんと晴れた次の日の朝。

あやちゃんとちーちゃんは公園におでかけすることにした。お気に入りのバッグをななめにかけて、中にはハンカチとティッシュとこびんちゃん。

道をわたってすぐのところにある、いつもの公園。ふたりはブランコが大好き。あやちゃんは立ちこぎでいきおいよくこぎだす。ちーちゃんもすわったまま、まけないように大きくゆらす。

「あっ。」

ちーちゃんが、投げ出されるようにブランコから落ちた。

「いたいよーおててとおひざー。」

今にも大泣きしそう。あやちゃんがかけよってサッとこびんちゃんたちを取り出した。こびんちゃんたちは、心得た。

 

「わたし、しょうどくちゃん!」

 

「わたし、おくすりちゃん!」

 

入っているのは水だけど、こびんちゃんたちは、ちーちゃんの痛いの痛いのとんでけーをがんばった。

「ほら、しょうどくちゃんとおくすりちゃんがきいたでしょ。」

「うん!」

ちーちゃんの涙はもうひっこんだ。こびんちゃんたちは小さくバンザイをした。

 

その夜。

「明日は何にへんしんしようかな。」

「わくわくするね。」

こびんちゃんたちは、あやちゃんとちーちゃんの寝顔をながめながら、楽しい夢をふくらませていたのでした、、、

story by Nao♪

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